2006年04月06日

戦後左翼の平和外交

日本の国防については、国際感覚からほど遠い、小児的センチメンタリズムに覆われています。政治家や官僚にも正面きって自主防衛を唱える人は未だに見かけない現在、我々国民が現実に即した国防議論を高め、長期的な国防政策(自主防衛)を早期に実現するよう働きかけることが重要と考えています。

伊藤貫著
「中国の核が世界を制す」から引用してみます。

 戦後左翼の現実逃避の平和外交
 戦後の日本外交の歴史は、左翼の現実逃避主義グループと保守派のアメリカ依存主義グループの対立の歴史である。これらのグループは両者ともリアリストではない。
 戦後の日本の左翼陣営は、国際政治の現実から逃避した平和外交論を繰り返してきた。彼らの平和外交論は、「日帝」と「米帝」を非難することに精力を集中し、ソ連軍・中国人民解放軍・北朝鮮軍が近隣諸国を侵略しても、自国民と少数民族を計8000万人以上殺害しても、ひたすら沈黙するものであった。
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それに比べて戦後日本の親米保守派の外交議論には、表面的にはリアリストであるかのごとき装飾が施されている。彼らの提唱する外交政策は、実際には米国の覇権外交に対する依存主義・従属主義にすぎないものであるが、彼らは巧みな語り口でその本質を隠蔽してきた。
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 カーター政権の安全保障政策補佐官であったズビグニュー・ブレジンスキーは、著作の中で戦後日本のことを、「アメリカの保護領」と描写している。日本政府は経済活動をある程度自由に行うことを許されているが、「外交政策・国防政策においては、米国の国務省とペンタゴンの管轄下にある属領」という意味である。
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 戦後の「ソ連封じ込め」戦略を立案するのにもっとも貢献した米外交官、ジョージ・ケナンも、戦後の日本のことを「アメリカ外交のチェスの駒」と呼んでいる。
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posted by 小楠 at 08:09| Comment(6) | TrackBack(2) | 書棚の中の国際関係

2006年04月05日

アメリカ外交の虚実

伊藤貫著
「中国の核が世界を制す」から、アメリカ外交の裏表の部分を引用してみます。
引用開始

アメリカのリアリスト外交
 戦前の日米関係が悪化した原因の一つは、アメリカ政府の「ウィルソニアン的な外交道徳」の高邁なお説教と、実際の米国外交の「リアリスト的な覇権主義」とのギャップに多くの日本人が悩まされ、苛立ち、反発したことにある。
 たとえば1899年、国務長官ジョン・ヘイは突然、「中国の領土保全・門戸開放・機会均等の三原則を守れ」という要求を、日本・ロシア・ヨーロッパ諸国に突きつけてきた。これら三原則は「重要な外交道徳」であると米政府は主張し、米マスコミも声をそろえて「アメリカの対中外交の道徳的な優越性」を褒め称えた。
 しかし日本やヨーロッパ諸国にとって不快だったことは、アメリカ政府は自国が軍事的に優位な立場にある西半球やフィリピンにおいては、「領土保全・門戸開放・機会均等」を守るつもりなどまったくなく、利己的で排他的な帝国主義・武断主義外交を実行していたことである。
 当時の米海軍と海兵隊は、東アジア地域において、日本やロシアやイギリスと競争するだけの海外兵力投入能力を持っていなかった。つまりアメリカは、自国が軍事的に弱い立場にある東アジアでは「領土保全・門戸開放・機会均等を守れ」と高邁なお説教をし、軍事的に強い立場にある地域では、何食わぬ顔をして排他的・利己的な帝国主義外交を実践していたのである。当時の日本人が、アメリカが自画自賛する「道徳的に優越した米外交」に感銘を受けなかったのは当然であった。

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posted by 小楠 at 07:45| Comment(3) | TrackBack(0) | 書棚の中の国際関係

2006年04月04日

二つの外交政策

伊藤貫著
「中国の核が世界を制す」は非常にシビアな内容です。全ての政治家、外務官僚は必読と思いますが・・・
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引用してみます。

 外交政策二つのパラダイム
 「理想主義的」なウィルソニアン・パラダイム
 
国際関係を理解するために必要なパラダイムは二つである。リアリスト・パラダイムとウィルソニアン(ウィルソン主義)パラダイム。
 この二つの外交パラダイムのうち、戦後の日本人に理解しやすいのはウィルソニアン・パラダイムである。(ウィルソニアン・パラダイムは「リベラル派のパラダイム」と呼ばれることもある)。
 ウィルソニアンというのは、「国際法強化、国際組織の充実、経済の相互依存の増大等が進めば、世界の諸国はお互いに戦争しなくなる」と考えるパラダイムである。第一次世界大戦後にアメリカのウィルソン大統領が、「諸国間の利害の対立は国際連盟における理性的な話し合いと国際法の強化によって解決できるはずだ」。と主張したことから、この名称が生じた。
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 1980年代以降、欧米の国際政治学者のあいだで流行となっている「民主主義諸国はお互いに戦争しないという法則」も、ウィルソニアン的な考えである。この「法則」によれば、「世界中の国がすべて民主主義国になれば世界平和は達成される」という思考パターンとなり、これも戦後の日本人に受け入れやすい外交思考のパラダイムである。

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posted by 小楠 at 08:22| Comment(6) | TrackBack(1) | 書棚の中の国際関係