2007年11月23日

GHQの日本洗脳工作5

米軍発表「太平洋戦争史」論、日米交渉2

江藤淳氏の著「忘れたことと忘れさせられたこと」の末尾付録1に、昭和20年12月8日大東亜戦争開始四周年を期して発表された、米軍司令部当局提供特別記事「太平洋戦争史」がいかに米国に都合よく、日本=悪の思想を日本国民に浸透しようとする意図のものであるかを批判する、総務局資料課の富枡嘱託の論が掲載されていますので、ご紹介しようと思います。なお、文中同文とあるのは米軍司令部当局発表の「太平洋戦争史」のことです。(旧漢字やカタカナの原文を読み易くしておきました)
写真は国務長官コーデル・ハル
haru.jpg

引用開始
12、米国政府の戦意決定
 同文は米国の対日最後要求を講評して、「十一月二十六日、日本側代表に手渡された回答には米国政府が将来の会談を通じて実現可能と思われる案の唯一の例であることも明示していた」となし、暗にむしろ明白に自己弁護を主張し且つ自発的ならびに継続的に日本が挑戦的なりしを指摘するに努めたれども、翻って委細に検討すれば事実は右発言と正反対なりしは次の三史実によりて例証せらるる所なり。即ち

1)十一月二十六日午後四時半「ハル」は野村、来栖両大使を招致し国務省に於いて該提案を交付したる直後、ホワイトハウスにて開催せられ大統領の参加せし重要会議に於いて「先刻米国通牒を日本大使に交付したるが、日本政府はこの提議を拒絶すべく、而して日本軍部はその伝説的開戦戦術により「パール・ハーバー」を奇襲すべきにより、陸海軍両長官(同席の「スティムソン」ならびに「ノックス」)は同地に於ける各自所轄司令官(ハワイ防備司令官「ショート」陸軍中将ならびに太平洋艦隊司令長官「キンメル」海軍中将)に右の旨通報警告せられたし。この警告は「戦時警告」なりと厳命せり。

2)その後十一月二十九日「ハル」は駐米英国大使「ハリファックス」と対日政策熟慮の際「日米関係中の外交的部面に関するものは事実終了を告げ、今後の事態は米国陸海軍官憲の掌中にて解決せらるるに至らん」と述べ、尚「太平洋情勢に関心を有する米国ならびに他の諸国に取り重大なる誤謬は日本が驚駭の有する要素を以て俄然出動し来るべきを予想せずしてこれを防御せん事を考量するに在り」と付言したり。
これ何たる日米危機洞察の至言ぞ。同時に戦争誘導外交家の胸中を吐露し得て寸毫の疑問を許さず。更に翌三十日「ハル」は米国新聞記者との会見談に於いて再び同様なる自己の確信を披瀝し居りたり。

3)昭和十七年十一月二十二日、野村大使は帰朝以来最初の声明中「会談末期に至って彼の方は俄かに挑戦的となりたるは事実なり」と追懐し、更に「これは自分の想像に過ぎざれども、十一月二十七日(対日通牒の翌日)最後に「ルーズベルト」と会見したる際、大統領は明らかに戦争決意をなし居りたりとの印象を受けたり」と。
(筆者十二月一日(月曜、日本時間二日火曜)午前十時半、かつて一学究として忌憚なき意見交換を相約し居りたれば国務省に政治顧問「ホーンベック」博士を往訪し「六日前の対日要求が既に巷間貴博士の作製にかかるものなりとの噂ある処、
1、全支より即時撤兵要求は余りに過酷なるの嫌いあり。
2、かくては日本国民に対する軍部の体面を失する事甚大なり。3、我が国には「窮鼠返って猫を噛む」の俚諺あり。
4、よってこの際米国政府に於いてこの日米危機を平和的に打開せんとするの意志あらば、尚一度対日要求に対し最後的考量ありたし。換言すれば幾分の譲歩あらんことを切望す」と陳情したる際もまた、野村大使の場合と同様に米国は既に開戦を決意せりとの印象を受けたり
 よって「太平洋戦争史」著者としての米軍司令部当局は左記四点に関し自己弁護の責任ありと言うべし。

1)米国政府が戦争必至ならびに奇襲を確信し且つ覚悟し居りたるのみならず、防御施策を講じ来たりたるは明白なる事実にして、米軍司令部発表の同文が十一月二十六日米国提案を会談、協議を以て「実現可能と思われる」提案となしたるは、荒唐無稽に外ならず。
2)単に米国政府が自己の政局判断に基き過酷なる該要求に対する必然的善処策として前掲の如く「戦時通告」を発し以て開戦対策を執り来たる事実の議論よりするも、該要求が戦争誘致の提案たりしと言うを得べし。
3)前後三回に亙り尚目下進行中の「パール・ハーバー」審査委員会の根本的存在理由は、寧ろ緒戦戦敗追及を目的とするが故にあらずして、(緒戦に於いて「マッカーサー」その他敗将続出したるも、かつて敗戦審査会の設立を見ず)、主として前掲「戦時警告」たる上官命令違反に関する処罰如何に起因すと見なすを正当とすべし。
更に該会談は米軍司令部当局が現在解釈し居るが如く、果たして「米国政府が将来の会談を通じて実現可能と思われる案の唯一の例である」として当時日米交渉終局的危機に際してさえ、敢て我が方に強要したる事実を以て該提案こそ取りも直さず米国政府の日本政府に対する「最後通牒」と言うを至当と観ずべきなり。・・・・

終わりに、日米両国間に於ける日米外交殊に開戦外交に関連し、将来公平無私なる厳正批判に到達せんとせば、両国篤学の人士にして(二字不詳)国際的心理と良心とを有する識者によって構成せらるべき日米合同審査委員会に譲るを可とせん。従って現在日米両国に於いて単独的に審議せられつつあるいわゆる大東亜戦争調査会、開戦審査会ならびに「パール・ハーバー」奇襲審査委員会等の如きこの種重要なる諸機関を一元化するを要す。
引用終り
posted by 小楠 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(1) | 書棚の中のアメリカ
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