2007年11月02日

東京裁判弁護資料2

高柳賢三弁護人冒頭陳述

 戦後レジームの根元と考えています東京裁判の内容が如何なるものであったかを実際の弁護記録から知っておくのも大切なことだと考えます。
 今回も小堀桂一郎氏編「東京裁判日本の弁明[却下未提出弁護側資料]」から抜粋して、東京裁判が茶番と言われる所以が判りやすい部分を記述してみます。
今日は高柳賢三弁護人の冒頭陳述のごく一部ですが、第一回は昭和22年2月24日で、全文却下(全面朗読禁止)で、昭和23年3月の最終弁論でようやく全文朗読されたものです。
写真は法廷内の弁護団
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引用開始
 さてわれわれは、右の如き一般に認められた解釈の準則に従って当時の責任ある政治家のなした声明を顧ることとしよう。
(イ)アメリカ合衆国
 ケロッグ国務長官は、1928年4月28日の演説において次の如く述べる。
「アメリカの作成した不戦条約案中には、自衛権を制限乃至毀損するが如き点は少しも存しない。自衛権はすべての独立国に固有のものであり、又あらゆる条約に内在している。各国家はいかなる場合においても、又条約の規定いかんにかかわらず、攻撃もしくは侵略から自国の領土を防衛する自由をもち、自衛のために戦争に訴える必要があるかどうかは、その国のみがこれを決定し得るのである。正当な理由ある場合には、世界はむしろこれを賞讃し、これを非難しないであろう」。

 次でケロッグ国務長官は、右条約調印を勧告せられた各国政府にあてた1928年6月23日の覚書において、フランスの強調した六項目の重大な「考慮事項」に関連して条約に対する彼自身の「解釈」を明らかにした後次の如く述べたのである。
「かかる事情の下に、余はここに貴政府の考慮をわずらわすため、上述した変更を含む戦争放棄に関する多辺的相互条約の草案を伝達するの光栄を有するものである」。
 合衆国においては、周知の如く、本条約のモンロー主義に及ぼす効果につき大きな懸念が抱かれたのであったが、ケロッグ氏は1928年12月7日上院外交委員会に対して、モンロー主義の保障は、本条約が自衛行為を排除せず、且つ自衛行為であるか否かは合衆国のみがこれを判定する権利をもつことのうちに含まれているから大丈夫だといった。氏はさらに、アメリカ政府は国家の防衛又は国家に危険を及ぼすべきおそれある事態を防止するために必要と信ずる処置をとる権利を有すると述べ、この法則は全て他の国家にも均しく適用せられることを認めた。国務長官は又、アメリカ政府は自衛の問題の決定をいかなる裁判所に委ねることをも承認しないであろう、又他国政府もこの点については同様承認しないであろうと述べた。
 ボラー上院議員は、1929年1月3日の上院における演説及び討論について、何が攻撃となるか又何が防衛の正当性を理由づけるかを自ら決定する権利を放棄する国はないであろうと述べ、又合衆国は、他国の行動が合衆国自身に対する攻撃の性質を帯びないかぎり、これに関して自衛問題を決定することには関与しないであろうと明言した。・・・・・

(ロ)英 国
 1928年5月19日、英国政府はアメリカ政府に対して、国策の手段としての戦争を放棄する部分を引用した後、一定の地域の福祉と統合とは英国政府の平和と安全にとって特別の、且つ死活的な利害をもつものであること、並びにかかる地域に対する攻撃に対してこれを守ることは自衛手段に他ならぬ故、右地域に対するいかなる干渉もこれを甘受しえざる旨を宣言した覚書を手交した。
 右覚書中かかる地域の何たるかは指定されておらず、将来いかなる地域を以てかかる地域とするかについて完全な自由が留保されていることに注意すべきである。右の覚書はケロッグ国務長官の演説中に解説されている「自衛権」に関する英国政府の、より具体的な解明であった。
 オーステイン・チェンバレンは将来の異議乃至論争に対して効果的な先手をうつために、7月18日の覚書に次の如き明確な条件を付している。いわく、
「5月19日付覚書中、一定の地域の福祉と統合が英国の平和と安全にとって特別の且つ死活的な利害をもつことに関する部分については、英国政府は、新条約が右の点に関する英国政府の行動の自由をなんらそこなうものでないことの諒解のもとにこれを受諾するものである旨再言するに止める」。
 なるほどソヴィエツト政府及びペルシャ政府は英国の留保を認めることを拒絶した。しかし将来英国政府がケロッグ・ブリアン条約違反の責を問われた場合に、かくも細心な注意をもって起草され、条約の本文と共に正式に国際聯盟に寄託せられた自衛に関するその解釈を採用しないというが如きは、想像できないことと考えられていたのである。

(ハ)フランス
 ブリアンは7月14日の覚書において左の如く言明した。
「これに加えて、共和国政府はフランスの立場から述べた各種の所見を満足せしめるため合衆国政府が新条約にたいして与えた見解を了承することを欣快とする。・・・・・
 かかる事態において、又かかる条件の下に、共和国政府は合衆国にたいして、今や本条約に調印する完全な意図を有する旨を通告しうることを欣快とする・・・」。・・・・・

パリ条約締結国の意思が次の如きものであったことは明らかである。
(1)本条約は自衛行為を排除しないこと
(2)自衛は領土防衛に限られないこと
(3)自衛は、各国が自国の国防又は国家に危険を及ぼす可能性ある如き事態を防止するため、その必要と信ずる処置をとる権利を包含すること
(4)自衛措置をとる国が、それが自衛なりや否やの問題の唯一の判定権者であること
(5)自衛の問題の決定はいかなる裁判所にも委ねられるべきでないこと
(6)いかなる国家も、他国の行為が自国に対する攻撃とならざる限り該行為に関する自衛問題の決定には関与すべからざること
引用終わり
posted by 小楠 at 07:23| Comment(0) | TrackBack(1) | 書棚の中の東京裁判
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Tracked: 2007-11-04 12:35