2007年10月25日

ソ連の手先・共産党

政局紛糾の責任とマッカーサー

 今回は「徳富蘇峰終戦後日記2」をご紹介しています。以前にご紹介した「徳富蘇峰終戦後日記」の続編で、「頑蘇夢物語」続編として06年12月の発行となっています。
写真は1946年5月のメーデー
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引用開始
(昭和21年5月19日午前〜20日午前)
 表向ではソ連も世界問題の処分に於ては、米英と歩調を揃えつつあるが如くであるが、裏に廻っては、全くその反対の行動をしている。近くは朝鮮に於てがその通りである。如何に米国が統一したる朝鮮の民主国を作り上げんとしても、38度線を限りとしてソ連は断固として独自の政策を朝鮮に実行している。即ち日本に於ても漸くその徴候が現れ来り、余りに露骨にソ連が日本の共産党を支持し、且つアメリカの統治方針に横車を押しつつある為に、流石のマッカーサーも今は業腹となって、その代表者をして、共産党は嫌いであると揚言せしむるに至った。しかもそれについて、また本国政府では、左の如くそれを支持している。

反共声明を支持
米国務次官【ワシントン17日発AP−共同】

 対日理事会米国代表ジョージ・アチソン氏が去る15日「米国は米国におけると日本におけるとを問わず共産主義を歓迎しない」と言明したことは米国朝野にも重大渦紋を投げかけているが、米国務次官アチソン氏は17日新聞記者団会見の席上、国務省はアチソン代表の声明を支持する、と言明した。
 かくの如く日本に於ても、事毎にマッカーサーの統治に横槍を入れつつありて、遂にその諍いが表に出て来るに至ったが、今後それが如何なる程度にまで発展するか、もしくはそれがいかなる程度まで調節せらるるか。いずれにしても、世界は全く二大陣営に分かれ、アングロサクソンに属せざる者はソ連に属し、ソ連に属せざる者はアングロサクソンに属し、あたかも応仁の乱に、山名方、細川方とある如く、何れにか属せざる者はなく、日本の如きは、その二大勢力のやがて角力を取る土俵となるかも知れぬ虞れが無しともいえない。日本に於ける共産党は小さき蛇であるが、それがあるいは雲を起し、雨を降らすの龍となるか否かは、これは未来の問題である。


 共産党を野に放った者はマッカーサーである。而して放たれたる共産党に迷惑を感じつつある者もまたマッカーサーである。これはマッカーサーとしては自業自得であるから、それまでの事として措くも、困ったものは、ただ我が皇国の前途である。今後この共産党が如何なる事を仕出かすか。今日の日本の共産党には、毛沢東や、朱徳、周恩来ほどの人間もいないようだ。しかし彼等は斗筲の輩であっても、その背景がソ連であることを忘れてはならぬ。
要するに今日の日本は、既に事実に於ては、米ソ二大勢力の争地となっている。米国は日本を米化せんと欲し、ソ連は日本をソ化せんと欲している。両国とも日本を国境と考えているであろう。即ちソ連の国境も日本まで進出し、米国の国境も日本まで進出するという訳である。事実その通りで、千島、樺太はソ連が取っており、琉球、奄美大島、小笠原群島の一部は、米国が取っている。地理的にもそうであるが、地理よりもむしろ民衆の上に於ける心理的支配権の上に於いてもまた同様である。
 諺に、貧すれば鈍するというが、維新以来今日ほど人物の払底したる時は、日本には見出されない。たまたま為すあるの人物がいても、彼等はいわゆる追放令に罹って手も足も出すことは出来ない。共産党を野に放ったばかりでなく、放って他の者を全部ほとんど検束し、彼等もしくは類似彼等の徒のみに運動の自由を与えたるマッカーサーは、今尚それに気付いているか否かは判らない。しかし虎を放った者もマッカーサーであり、虎を養うた者もマッカーサーである。やがてはその虎がマッカーサーにも喰ってかかる時節が到来しないとも限られまい。

 共産党をして今日に至らしめたる者はマッカーサーであり、日本の政局をして今日に至らしめたる者もまたマッカーサーである。叩けば如何なる畳でも埃が出る。日本国中の公人にしてマッカーサー流に詮議立てをすれば、誰でも追放令に罹らぬ者はあるまい。
 共産党が虱潰しに潰して行く所によれば、戦時中は憲兵によりて拘囚せられ、厳重の取調を受けたる吉田茂その人さえも、追放令を受ける資格がありというではないか。この調子で行けば、日本には到底小学校の子供か、刑務所の常住者かを除けば相手にすべき者はあるまい。即ちその刑務所に在った徒輩が、事実上相手となって出て来ているのである。徳田球一、志賀義雄の徒はそれである。その他の共産党の連中また然りである。・・・・
 かかる余計な事をして、この時局をいよいよ紛糾せしむる者は誰であるか。当初から政権は多数党が占むべきものという事を明言しさえすれば、自由党が単独内閣を組織するなり、他と連合するなり、ともかく内閣組織だけは埒があくべきはずであった。しかるにその事さえも今日に到るまで、尚混沌たる状態である。而して黄昏になれば蝙蝠が飛び出す如く、夜になれば梟が鳴く如く、さかんに共産党は時を得顔に跳梁している。これが即ち即今の情勢である。
引用終わり
posted by 小楠 at 07:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 書棚の中の国際関係
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