2007年10月17日

ヤルタ秘密協定全文

千島はソ連に、ヤルタ協定で既に確定

 今回は「徳富蘇峰終戦後日記2」をご紹介します。以前にご紹介した「徳富蘇峰終戦後日記」の続編で、「頑蘇夢物語」続編として06年12月の発行となっています。
 後の解説には、「・・・蘇峰が神経質に反発したのが黄禍論だった。彼が警戒したのは、「亜細亜的」という「概括的名称」によって、日本が中国などのアジア諸国と同一視されることだった。・・・日本が朝鮮や中国と同じカテゴリーで理解されることは、日本の国際的地位にとって決定的なマイナスになる。この認識は福沢諭吉の「脱亜論」以来のものである。・・・この考え方をもっとも忠実に継承したのが蘇峰だった」とあります。
写真はソ満国境を突破して侵攻するソ連軍戦車部隊
ganso01.jpg

引用開始
(昭和21年2月13日午前、晩晴草堂にて)
 ヤルタ会議の秘密協定全文なるものが発表せられた。これは昨年―1945―2月7日ヤルタに於て、ルーズヴェルト、チャーチル、スターリンの間に締結された秘密協定である。

【ワシントン11日発UP=共同】
米、英、ソ三国政府は1945年2月7日ヤルタにおいてルーズヴェルト、チャーチル、スターリン三巨頭間に締結された全文を11日同時に発表した。要旨左の通り。

米英ソ三大国首脳はここに左の事項を協定する。
ドイツが降伏し欧州戦の終結を見て2、3ヶ月後ソ連は左の条件の下に連合国側に立って対日戦に参加する。
1,外蒙古(蒙古人民共和国)における現状を維持する。
1,1904年、日本の背信的攻撃により奪われたロシヤの所有せる諸権利を回復する。
A,南樺太及び附属島嶼をソ連に還付する。
B,商業港大連を国際港とし、ソ連権益の特殊的地位を保障する、旅順港のソ連海軍基地としての租借を復活する。
C,大連への連絡路たる東支鉄道及び南満洲鉄道はソ支合弁会社により運営、但しこれら鉄道にソ連が有する権益の特殊的地位は保障され、一方中国は満洲における完全な主権を保持する。
1,千島列島はソ連に引渡す。上述の外蒙古、港湾鉄道に関する協定については蒋介石氏の同意を必要とすることとする。トルーマン大統領はスターリン首相の勧告に従い蒋主席の同意を得るための必要な措置を講ずる。

 これで見れば、ソ連は東亜に於ける、否な極東における位置を、日露戦争以前に引戻すばかりでなく、更により以上のものを回復している。即ち千島列島を割譲するの如きがそれである。しかしてここには朝鮮のことだけは掲げてないが、事実の証明した如く、朝鮮は全く米国とソ連が、分割し、しかも日露戦争以前には、当時の帝国ロシアは、日本と大同江を界として、その権域を協定せんとしたが、今回は38度をその権益線としているからには、更に南下して開城附近まで進んでいる事がわかる。つまりソ連は、日露戦争以前の状態にしんにゅうを加えて、その権益を拡張するという約束によって、漸く対日戦争の決心を、米英両国に表明したのである。今更スターリンが、日本を侵略国呼ばわりをしたなどという事は、むしろ滑稽の至りといわねばならぬ。
 米国の如きは、日露戦争の仲介者として、ポーツマス条約は、当時の大統領ルーズベルトの勧告、慫慂、ある場合に於いては、ほとんど高圧的手段さえ用いて、日露を協定せしめたものである。しかるに同じ名のルーズベルトが、前代ルーズベルトの手によって出来た条約を、また根本的に引っくり返したなどということは、地下のルーズベルトも、定めて苦笑したであろう。・・・

 今更スターリンに向って、理屈を言う必要はない。石川五右衛門に、論語の講義をしたところで、いわゆる豚に真珠をなげうつの類であろう。ただ我等が一言を必要とするは、我が国民は、昨今の今頃に於ける、このヤルタ会議の、秘密協定全文なるものを見て、いかなる感をなすかである。彼等は連合国の申分を、無条件に受け入れるばかりでなく、まるで連合国は、天理人道の国であって、日本は切り取り強盗の国であるかの如く、自ら日本を呪い、罵り、且つ辱めている。しかも露国といい、米国といい、その人口は、その領土に比して、むしろ稀薄である。日本の如く、人口のはけ口なく、やがては人々相食まんとする心配さえ、無きにあらずという如き心配は、夢にも無い。
 彼等は自給自足できるばかりでなく、今から一世紀間くらいは、らくに現状のままにて、生活が出来ていく国柄である。しかるに露国の如きは、尺土寸地さえも、他より奪い取らんとしているではないか。これが彼らの真相である。
 日本の維新以来の動きは、国として民族として、生きるための動きであった。即ち本能的の動きであった。これを米、英、ソ連などと同一視すべき事でないことは、この秘密条約によっても、暴露しているではないか。今後彼等は、日をおうてその尻尾を現し、化けの皮を曝し来るであろう。
引用終わり

 北方領土問題の根源は、この秘密協定と、ポツダム宣言の内容からソ連の違法、返却を訴える日本の正当性が認められます。
posted by 小楠 at 07:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 書棚の中の国際関係
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