2007年05月23日

米国製憲法強要事情3

マ元帥、近衛公爵への改憲提案依頼と裏切り

 児島襄著「史録 日本国憲法」をご紹介しています。奥付には昭和四十七年第一刷、昭和五十年第六刷となっています。
 この本の最後の部分に、著者は『どのような憲法論議を進めるにあたっても、先ずは「日本国憲法」の成立の事情を明らかにすることが、出発点と思われる』と書いています。 
 今回の引用は、近衛公爵とマッカーサーの会見内容で、マッカーサーが憲法改正に関する話を持ち出した部分です。
写真はMacarthur
MacArthur.jpg

引用開始
 東久邇宮首相のあと、マッカーサー元帥が迎えた日本側要人は、近衛文麿公爵であった。
 近衛公爵は、十月四日午後五時、通訳にあたる外務省の奥村勝蔵とともに、第一生命相互ビルの総司令部をたずねた。
 公爵のマッカーサー訪問は、二回目である。最初は九月十三日(昭和二十年)、まだ総司令部は横浜税関に居を占めていた。・・・・
 近衛公爵は、日本の過去の軍閥横行の背後に赤化分子の活躍があった、(近衛上奏文参照)
と満洲事変いらいの歴史を略述しながら、説明した。元帥は公爵の話の間に質問をはさみながら聞いていた。
 公爵が主張したのは、軍閥や極端な国家主義者を排除しようとするあまりに、国家の安定勢力まで一掃してしまっては、日本は共産化してしまう、という点であった。

 元帥は、公爵の話が終ると、「お話は有益であった。参考になった」といった。そこで、近衛公爵は、こんどは元帥の意見を聞こうと思い、質問した。
「政府の組織および議会の構成につき、なにかご意見なり、ご指示があれば承りたい」
 すると、マッカーサー元帥は、急に姿勢を正すと、強い語調でいった。
「第一に、憲法は改正を要する。
改正して自由主義的要素を充分に取りいれねばならぬ。
 第二に、議会は反動的である。これを解散しても、現行選挙法の下では、顔ぶれは変っても、同じタイプの人間が出てくるだろう。それを避けるためには、選挙権を拡張して、婦人参政権と労働者の権利を認めることが必要である」
 憲法改正という予想外の発言に、近衛公爵はおどろいたように眼をあげたが、びっくりしたのは、むしろ、サザーランド参謀長であった。・・・
 近衛公爵が、ごんごは元帥の激励と助言とにより国家のためご奉公したい、と述べると、右手のコーン・パイプをぐっとさしだして、うなずいた。
「まことに結構である。公爵はいわゆる封建的勢力の出身ではあるが、コスモポリタンで世界の事情にも通じておられるし、まだお若い。
 敢然として指導の陣頭に立たれよ。もし公爵がその周囲に自由主義分子を糾合して、憲法改正に関する提案を天下に公表されるならば、議会もこれについてくることと思う」

 近衛公爵は、元帥の言葉をなんども脳中で反すうした。(・・・憲法改正・・・お若い・・・陣頭に立て・・・でないと、われわれ自身でおこなわねばならぬ・・・)
「こりゃあ、たいへんなことをいいつけられたなァ」・・・・
 問題になるのは、近衛公爵と戦争犯罪人指名との関係である。戦争犯罪人の選定については、すでに戦争法規違反の戦犯者は法務部長A・カーペンター大佐が、戦争政策の指導にあたった政治的戦争犯罪人は対敵諜報部長E・ソープ准将が担当して作業を開始しているが、近衛公爵が政治的戦争犯罪人の指定をきぬがれることは、あり得ないはずである。・・・

 一ヶ月もたたぬ十一月一日、マッカーサー元帥は、近衛公爵に憲法改正業務を依頼したおぼえはない旨を、声明する。いらい、立場を失った近衛公爵は失意の日を重ね、やがて戦犯指名を受け、出頭を前に自決することになる。その死の裏には、明確に憲法改正の仕事を指示されたにもかかわらず、知らぬといわれたマッカーサー元帥の「裏切り」にたいする悲憤があった、と公爵の側近者は、一致して推察するからである。・・・・

 十一月一日午後五時、マッカーサー総司令部は、近衛公爵の憲法改正における役割を否定する次のような声明を発表した。
「近衛公爵が日本憲法改正にはたしている役割について、重大な誤解が存在している模様である。近衛公爵は、連合軍当局によってこの目的のために専任されたのではない。近衛公爵は、東久邇宮首相代理の資格において、日本政府は憲法改正を要求されるであろう旨を通告された。
 その翌日、東久邇宮内閣は総辞職し、本件に関する同公爵と連合軍当局との関係は、これをもって終焉した・・・近衛公爵のその後の関係はまったく皇室との関係にとどまり、連合軍総司令部は同公爵をまったく支持していない・・・」・・・・・

「覚書を知った時の、近衛の凄いまでの表情は私の目の前にはっきりと、まだ見える」――と牛場友彦は記述しているが、衝撃を受けたのは、牛場友彦も同様である。・・・・
 マッカーサー元帥の声明には、明らかにウソがある。
 元帥は、憲法改正を示唆したのは東久邇宮内閣副首相の近衛公爵に対してであって、個人近衛にではない。ゆえに、近衛公爵が閣僚でなくなった瞬間に総司令部と公爵との関係は消滅した、という。
 たしかに十月四日、近衛公爵がマッカーサー元帥を訪問したときは副首相であり、その翌日、内閣は倒れ、公爵は私人となった。しかし、その私人近衛に対して、十月八日、アチソン顧問は憲法改正に関して考慮すべき項目を教示し、二十五日には、ジョン・エマソンがさらに詳細な勧告を伝えている。
 アチソン、エマソンはマッカーサー元帥の政治顧問である。「連合軍当局との関係が終焉」していたどころか、むしろ、「当局」は積極的に近衛公爵を指導していたのである。
引用終り
posted by 小楠 at 07:09| Comment(9) | TrackBack(2) | 米国製憲法強要事情
この記事へのコメント
http://blogs.yahoo.co.jp/inosisi650/12769631.html

昭和26年のサンフランシスコ講和条約締結権限(=交戦権の行使)は大日本帝国憲法の講和大権に基づく。つまり、講和条約を締結する権能も交戦権の行使によるが、万一、国の交戦権を認めない「日本国憲法」が憲法である場合、国家に講和条約締結権能が予定されていないのでサンフランシスコ講和条約締結事務をいくら行っても、その効果は国家に帰属しないことになり、我国は法理論的にはいまだ独立回復していないことになる。
Posted by いのしし650 at 2007年07月31日 23:43
いのしし650様
コメント有難うございます。
貴サイト拝見しました。私も現憲法は無効と考えています。
根本的に戦勝国が被占領国の法を変更させるなどは、国際法違反行為。
また当時国民の間で憲法論議など全くなされていないことも、これが日本国憲法ではないことの証でしょう。
Posted by 小楠 at 2007年08月01日 07:47
>現憲法は無効
http://inosisi80.iza.ne.jp/blog/entry/123476/
ヘーグ条約違反よりも強烈なのが、改正元の帝国憲法75条違反だということです。
有効論を攻略するのに、無効論側からも「日本国憲法」の有効論を立てるのです。それをやっているのが「新無効論」なんです。「日本国憲法」を憲法レベルで無効、講和条約レベルで有効と主張すれば有効論者はこまります。
戦後60年たったのだから、無効論は通じないなどと言えなくなるのです。
「日本国憲法」は憲法なのか、講和条約なのかをつなひきすればよいことになります。
新無効論によれば、
現行法秩序は、
国体法(不文)>帝国憲法>講和条約●「日本国憲法」>法律>命令
です。ただ、敗戦利得者の保身の都合から戦後空間の教育では●から下だけが国法体系だと教えられてきただけのことです。
上記の体系が真実なのだという過半数の確認決議を現国会やれば我々はいまだ帝国臣民だということが公認されることになります。
http://blogs.yahoo.co.jp/inosisi650/14383823.html#14731330
Posted by いのしし650 at 2007年08月01日 12:39
いのしし650様
>>講和条約レベルで有効と主張すれば

結局は帝国憲法の改正ということにもって行くということでよろしいですか?
Posted by 小楠 at 2007年08月01日 17:24
>結局は帝国憲法の改正ということにもって行くということでよろしいですか?<
そういうことです。やるなら正統憲法を改正すべきなのです。
なぜなら、なによりも大事なのが国家の正統な理念だと考えるからです。
http://inosisi80.iza.ne.jp/blog/entry/168757/
制度的、技術的なことなどは戦後の国民にも規定する能力はあるかと思いますが、既に長年正統な国家理念を経験するどころか、外国勢力がつくった異体の中で飼い慣らされた今の国民には憲法の中核になる存続理念を発見する能力などないとあきらめているからです。国家理念などは生きている人間の意思で創設するものではなくひきつぐものだからです。占領憲法改正では戦後レジームの完成になります。

また、「承詔必謹」の考え方による有効あつかいによる占領憲法改正も新無効論からすれば、国賊行為です。
http://inosisi80.iza.ne.jp/blog/entry/171886/
なぜなら明治天皇の御名御璽つまり帝国憲法違反を押し通すことになるからです。
また、
http://blogs.yahoo.co.jp/inosisi650/15155225.html
皇祖皇宗の遺訓に背いたことになるからです。我が国の憲法、欽定(つつしみてさだめる)憲法の本質は神々との関係で正統性が確立されるものですから、法律論を超えた次元でも「日本国憲法」は完全に無効なのです。
帝国憲法を改正してそれを最高祭主たる天皇が欽定方式によって皇祖皇宗に報告なさるのが正統(有効)な改正です。

{憲法違反の憲法は無効だ!」というこのど真ん中のコースが左翼勢力の一番よわいところで、東京裁判史観の本体は日本国憲法であるとさえ言えますから、これを攻撃すべきだと思います。
http://blogs.yahoo.co.jp/inosisi650/13749651.html
反日の「現象」のもとの「根」「癌」を絶たないと永久にいたちごっこだと思います。
帝国憲法が国民意識の中で回復されますと、反日史観が息切れするはずです。
Posted by いのしし650 at 2007年08月01日 20:10
小楠様 追記します。
>結局は帝国憲法の改正ということにもって行くということでよろしいですか?<

手順は先に揚げましたリンクに概説しています。
これです↓
http://blogs.yahoo.co.jp/inosisi650/14383823.html#14731330
−−−−−−−−−−−−−−
ゆえに、その後やるべきは、

1,帝国憲法を土台に改正審議をすすめる。
2,帝国憲法改正実現と交替的にその下位の講和条約「日本国憲法」を形式的に国外関係国へ破棄通告するのです。

このことによって歴史伝統にもとづく正統な国家理念をもつ国家に原状回復されるのです。
Posted by いのしし650 at 2007年08月01日 20:45
いのしし650様
何度も有難うございます。
>>帝国憲法を土台に改正審議をすすめる

私もこのような流れができるのが最良と考えますし、正統な手順だと思います。
Posted by 小楠 at 2007年08月02日 11:03
小楠様
無効論をひろげたいですね。
改正論はどうも、その正統な手順を考えてみようとする思考の回路をたつマスクイデオロギーのようにみえて私にはとてもじゃまな存在です。
ありがとうございました。
今後も貴ブログで勉強させてもらいます。
Posted by いのしし650 at 2007年08月03日 00:13
いのしし650様
>>無効論をひろげたいですね。

世界の中の日本という視点で、日本人がどれだけ真剣に憲法を考えるようになるかが大切ですね。
特に国防に対する意識は希薄すぎるように思います。
Posted by 小楠 at 2007年08月03日 07:57
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