2007年04月04日

日中友好のリスク

日中友好に踊らされた森ビルの悲劇

 青木直人氏の著「中国に喰い潰される日本(チャイナリスク)」から少しご紹介します。青木氏は常に報道では隠されている日中の重要な部分を分りやすく発表され、聞くたびに政治家、官僚、マスコミがいかに日本人を裏切っているかに憤りを感じずにはおれません。
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引用開始
 森ビルは現在、上海・浦東に「上海環球金融センター」を建設中だが、このビルの工事は長年中断したままにされていた。その再工事がようやく着工されたと聞き、私は上海の建設現場へと向った。
 森ビルなど日本の大手企業三十五社と国際協力銀行の出資で、世界一の高層ビルを建設する計画が公表されたのは1994年。躍進・上海の象徴として企画されたこのビルは、同時に日中友好の象徴としての意味もあり、建設に予定される資金約750億円(後に1050億円)は日本側だけで負担し、中国側は一銭も出さないという事実上の「日の丸プロジェクト」だった。

 1997年8月27日に定礎式が行われ、約一年間、地下部分の基礎工事を行ったが、その後、森ビルは「アジア金融危機によるテナント確保の困難さ」を理由に工事を中断していたのである。
 だが工事の中止期間中に、次々に明らかにされたのは、計画のずさんさだった。そもそもこの建設予定地は年間六センチを超えるほど上海一、深刻な地盤沈下に見舞われている場所であったことが判明したのである。
 この事実はほかならぬ2001年に地元上海の新聞がすっぱ抜いて、森ビル関係者を驚愕させた。
 報じたのは英字紙『シャンハイ・デイリー』だった。
「上海市は急激に超高層ビルが建設されたため、その重みで再び地盤沈下しつつある」
「市内の沈下は一年で約一センチにも上るが、その原因は度を越えた地下水のくみあげとビル建設にある」と指摘したうえで、
「なかでも市内でもっとも地盤沈下がひどいのが浦東地域の陸家嘴金融地域である。十年前までは畑にすぎなかったこの場所に多くのビルが建設された結果、2000年にはこの地域では平均38ミリも地盤沈下がおこっている」さらに続けて、「高さ420メートルの金茂大厦週辺はなんと63ミリも陥没している」と報じたのである。・・・・・

 森ビルが建設中の「上海環球金融センター」はこの金茂大厦から10メートル道路をはさんだ真向かいにある。そればかりか建設が予定されているのは420メートルの金茂大厦(88階)をさらに上回る、地上101階、地下三階、高さは492メートルもの地域最大の超高層ビルである。・・・・

 森ビルの苦闘はさらに続く。浦東金融地区の中心地・陸家嘴は中国政府が香港に代わる一大国際金融地区にしようと、内外から一流企業の誘致を熱心に行ってきた場所である。それだけに地代も並大抵な金額ではない。地元不動産関係者は「中国で最も高い場所です」と胸をはる。・・・・・

だが、工事が中断していたとしても、その間の地代が免除されるわけではない。だが森ビルは工事再開に関して総額費用を1050億円と発表したものの、地代総額がこれまでいくらかかったのかについては、明らかにしていない。・・・・・
 こうした資金調達を含む諸問題続発のせいか、実はこの森ビルの上海プロジェクトにはメインバンクのみずほ銀行の融資は行われていない。ファイナンスに応じたのは、邦銀の三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行と中国・香港系の銀行だけだったのである。・・・・

 再開された工事現場には赤い字で大きく「2008年初」完成とある。北京五輪が2008年の夏に開催開催されるからで、世界中に躍進・中国を印象づけるためにもオリンピックという国家的イベントまでに世界最高層クラスの摩天楼をどうしても建設しようとの意気込みが伝わってくる。・・・・・

 いずれにしても、中国が提供する、上海一地盤が弱く、しかも沈下中の一番地代の高い場所に、中国のゼネコンが中国の国策北京五輪にあわせて、四年の建設予定を三年に短縮してまで建設しているのが上海環球金融センターなのだ。
 それでいて、資金だけは日本がもち、オールジャパンマネーで、一部は日本の国際協力銀行から私たちの税金や郵便貯金の公的資金が投じられているのである。はたして日本人の何人がこの事実を知っているのだろうか・・・・

 同時期に台湾で高層ビル「台北101(台北国際金融大樓)」が建設中で(2004年完成)、面子からも「世界一」の高さに中国政府はこだわった。地元マスコミ関係者がそのあたりの事情を語る。
「中国政府は台湾の101の高さが最終的にいくらになるのか、台湾側に何度も問い合わせていました。森ビルは否定していますが、こうした当局に配慮して、結局、当初より32メートルも高く変更しています。そうすればアンテナ部分をのぞいて、建物自体では101を追い抜けると考えたのです」(最終的に「101」はより高さを増し、変更後の上海環球金融センターの建物の高さ492メートルを上回る508メートルで、現在、世界一を誇る)
ジャパンマネーを使って中国と台湾の外交合戦が繰り広げられていたのだった。

 ほぼ同じころ森ビルは、センターの名称を「上海環球金融センタービル」から「上海ヒルズ」に改称すると発表したものの、直ちに市当局から抗議とクレームが寄せられ、これを撤回せざるを得なかった。
 地元の有力紙の記者によれば、森ビルが一方的に名称を変更しようとしたことと、「ここは中国の上海であり、日本の六本木ではないという当局の反発、怒りが理由でしょう。上海環球金融センタービルのネーミングならイメージ的にも中国にメリットがありますが、上海ヒルズとなれば、中国は植民地なのか、という市民の間にあるナショナリズムにも火がつきかねない。変更をゆるせば、大ブーイングは必至だった」。
引用終わり

 我々は日本国民の血税の使われ方にもっと注意を払うべきです。消費税や所得税などの増額を批判する以前に、このような日本人が知らぬ間に行われている税金の使われ方がまだまだ山ほどあることを知り、強力に声をあげることが肝要ではないですか。
posted by 小楠 at 07:20| Comment(5) | TrackBack(1) | 書棚の中の日中関係
この記事へのコメント
これはびっくりです。
『大地の咆哮』に上海のビル群は見かけ倒しだというようなことが書いてありましたが、現在それに日本企業が関わっているなんて。そして税金が投入されている〜?しかも無計画というか調査不足というか・・・。
Mビルは国内でも評判よくないですね。六本木ヒルズのテナントが予定より集まらず、以前からあった赤坂アークヒルズのテナントをごっそり引き抜いてしまい、アークヒルズ周辺の商店等は大打撃だったそうです。
Posted by milesta at 2007年04月04日 09:05
milesta 様
>>アークヒルズ周辺の商店等は大打撃だったそうです。

そんなこともあったのですか。
中国関係への我々の税金の垂れ流しは、まだまだ恐ろしいほどあるでしょう。
明日にもう一つ掲載しますが、中国への資金提供と企業、政治家のつながりを徹底解明するべきだと思います。
なぜあのような敵対国に援助するのか、そこには何かの利権があるからと考えてしまいますね。
Posted by 小楠 at 2007年04月04日 12:52
北京第一病院、北京-上海高速道路、北京新空港その他の無数の教育文化医療Project・植林事業、港湾整備・・・毎日毎週毎月毎年日本人民の厖大な血税が殆ど無料で垂れ流されています。そのお金で施設が完成されても”日本”の名前は99%出てきません。支那人民も無論知らされておりません。日本の納税者は怒りを感じなければいけないのに怒ることが出来ないのは半ば故意に隠蔽されているからです。他の国ではこういう時にこそマスゴミの出る番なのに・・・。日本は世界でも無類の納税者自身が税金の使われ方を監視する意識の薄い国だから困ったもんですね。去勢のされ方が度を越えています。怒る国民になってもらいたいですね。(Netでも調べる方法がありますがそこへアクセスするまでが大変な厄介というよりも面倒です、かつ難解です(泪))。
Posted by k at 2007年04月04日 17:22
ケイ様
>>日本人民の厖大な血税が殆ど無料で垂れ流されています

青木氏の情報では、どうやら河野洋平は衆議院議長でありながら、中国では日本の大企業の代理人的扱いのようですね。
最近も北京五輪を成功させる会とかの会長になり、その会は媚中議員の巣窟です。中立的立場であるはずの議長がやっていることを誰も指摘も追及もしない日本。狂っていますね。
Posted by 小楠 at 2007年04月05日 07:55
はじめまして、記事が面白く読みやすいですね。
とても勉強になりました。
「国内旅行や海外旅行のエキスパーになる」を運営しています。
トラックバックお願い致します。
Posted by 飛龍 新蔵 at 2007年07月17日 04:55
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