2007年03月30日

侵略の頭目イギリス

当時のイギリス人の常識

 今回引用している本のタイトルは大東亜戦争前の昭和十二年に発行された武藤貞一著「英国を撃つ」でした。そのタイトル通り、この本は当時の世界で、不自然なイギリスの繁栄を、その酷烈な覇業によるものとして、日支事変中もその真の敵はイギリスであると説いているのです。この本からの掲載の最後として、その「序」から引用します。当時のベストセラーだったようで、大戦前の日本の風潮をよく現しているのではないでしょうか。
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引用開始
・・・・イギリスは印度を奪い、印度の黄金を吸収し、それによって更に他の領土をかすめ取る資本とした。イギリスの肥満と繁栄は何を措いても第一に印度の恩恵によるものであって、イギリスが肥満し繁栄した分だけ印度は痩せ細り、困苦に陥って来た勘定である。
 恐らくイギリス人の常識を以ってすれば、印度はイギリスの富源吸収用としてつくられた国土としか考えられないだろう。三億五千万の印度人は、何のために、縁もゆかりもないイギリスに対して忠誠な奴隷をもって甘んじなければならないかに就いては、恐らく如何なる国際法学者を拉し来っても解釈し得ないであろう。

 印度人はヨーロッパ大戦に引出され、イギリスのために独墺軍と善闘した。だがそれによって何を得たか。自治の空名は得たかも知れぬが、現に印度大衆は衣食住の『衣』の大宗たる綿布を筆頭に、多くの日用品種目にわたって、わざわざ廉価の日本品を避け、高価なイギリス品を押しつけられている。直接生活に対する圧迫、これより大なるはないのだ。これとて、印度人は、なぜ遠く離れたヨーロッパの島国人のためその生活を封鎖されねばならぬか。なぜ生活苦甘受を厳命されて服従しなければならぬかという理由を説明し得るものはないはずだ。しかもこれはひとりイギリス対印度関係に止まらず、千三百二十万方里のイギリス帝国全版図にわたる共通の現象なのだ。

 現世界は、この驚くべき矛盾、途方もない不自然が平然と看過されているところから、百の酷烈なる不幸を生じつつある。イギリスは、目覚めかかった印度を空軍の爆弾によって抑えつけ、この現状を維持するに内心必死の姿であるが、表面は何食わぬ顔をして、なおその侵略の毒牙に支那を引かきまわっているのである。
 侵略世界の凄惨は、むろんイギリスひとりによって来るものでないことはわかっている。ただイギリスがその頭目であるという事実を如何ともし難いのである。この意味で、われわれはまずイギリス帝国を以て世界の禍因と断言するに憚らない。

 イギリス人とは如何なる人種であるか。
 これを次の言葉によってバーナード・ショーに説明して貰おう。己を知るものは己に若かず、ショー翁がイギリス人であるということで、この語は千鈞の重味を加えるのだ。

「イギリス人は生まれながらにして奇妙な力を有ち、それがために世界の主人となるのである。第一、イギリス人は或る物を欲しいと思う場合、決してそれが欲しいとは口に出して言わぬ。じっと機を窺っている。そしてその欲しい物を持つ所有者を征服することが道徳であり、宗教であるという理屈をこねあげたとき、初めてその欲しいものを取るのである。奴等は到頭この手で全世界の半分をトッチめてしまい、それを植民地と称している・・・。
 粗製のマンチェスター品の為に、新しい市場が必要なときは、土人に平和の福音を伝えるとて宣教師を送るのだ。土人はこの毛色の変わった宣教師を殺す。そこで彼はキリスト教保護のために武力に訴える。これが為に戦う。これがために征服する。そして天からの報酬として、その市場を取ってしまう。その島海岸を護るために、船に牧師を乗り込ませる。十字架のついた旗をその一番高いマストに掲げる。そしてこれと争うものは、すべて撃沈したり、焼いたり、破壊したりして、地上の果てから果てへと進んでゆく・・・。
 どんな悪い事でも善いことでも、およそイギリス人のやらぬことはない。併しイギリス人が悪かったといった例しがない。何でも主義によってやる。愛国主義によって戦争をする。商業主義によって掠奪をする。商業主義によって奴隷にする。帝国主義によって脅迫する。勤皇主義によって王を助け、共和主義によってその首を刎ねる。その合言葉はいつも義務というのだ。しかも自分の利益に反してその義務を行う国民は、失敗するのだということはチャンと覚えている・・・」(ナポレオンの口をかりて)

 著者は確信する。現下における世界の問題は即ちイギリス問題であると。イギリスの世界的覇業が一日長ければ一日だけ長く世界は暗鬱だ。イギリスの太陽が没せざるうちは黎明は訪れないのである。

 日本はアジアのトーチカである。イギリスのアジア経略は、支那の中央集権を擒握するに至って、このトーチカとぶつかった。支那事変は正にその正面衝突であった。
 イギリスにして、若しもかれの実力とあらゆる権謀とがこの強固なるトーチカを破砕することが出来れば、それでアジア全体の運命は決するのであるが、逆に、イギリス勢力が摧(くだ)ければ、ここにかれのアジア経略が一大蹉跌に当面するばかりではない。一波万波を生ずる今日の国際情勢下において、更に更に重大なる運命がイギリス帝国を見舞う契機となるであろう。

 かくて世界歴史は、新たなる改訂を必要とすることになろう。実に日本が今ほど重大な死活の岐路に立つことはないと考えられるとき、著者は勇を鼓して敢てこの書を広く江湖に送らんとするものである。
南京陥落の日に
武藤貞一
引用終わり

 これで「英国を撃つ」からの引用を終わりますが、戦前の日本の風潮は、今言われているようにアメリカが主ではなく、植民地支配で大帝国となってきたイギリスに対する脅威が主であったということがわかります。
posted by 小楠 at 07:11| Comment(6) | TrackBack(0) | 書棚の中の戦争
この記事へのコメント
イギリス・フランス・スペイン・ポルツガル等々、かって欧州列国の植民地政策には夫々特徴があると思います。かってインド航路に就いていた頃、各地をぐるっと周ってイギリス植民地とポルツガル植民地とでは大きな違いがある事も分りました。イギリスの場合、自国の為の徹底的な搾取が行われたことは間違いありませんね。日本がかっての植民地インドネシアに施した教育や住民と共に働いた施策などと比べ雲泥の差があります。
Posted by カピタン at 2007年03月30日 09:14
カピタン様
>>イギリス植民地とポルツガル植民地とでは大きな違いがある

そうでしたか、外部から見てもそんなに歴然とした差が見られますか。
日本のようにアジア諸国の独立を前提とし、インフラの整備を充実させた国が未だに悪者にされ、アジア民族を奴隷状態にした白人が知らぬ顔。
やりきれませんね。
Posted by 小楠 at 2007年03月30日 09:51
イギリス人の知り合いはいませんが、イギリス人の末裔であるオーストラリア人にはやはり「主義」を持っていて、それと違うものは「おかしい」から正してやろうとする傾向はあります。現代の場合、欲望からというより、自分たちの方が進んでいる、ものをよくわかっているという優越意識からのように感じます。「クジラを食べてはいけない主義」「自然信仰なんて意味がない主義」など。未だそういうことをしている民族は野蛮だと考えているようです。一つの価値観しか許さず、視野が狭く感じてしまいます。
Posted by milesta at 2007年03月30日 12:39
milesta 様
>>一つの価値観しか許さず、視野が狭く

じかに観察されていて、このように感じられますか。
やはり一神教と多神教の違いははっきりしているようですね。
歴史的にはイギリスの囚人流刑の地だったことで、劣等感があってもいいかなと思っていますが、裏返しかなとも思えます。

Posted by 小楠 at 2007年03月30日 13:39
宗教という衣を着た獣ですね、欧州列強って。スタンダールではないけれど、赤(宗教)と黒(軍艦)の両刀使いで地球を牛耳っていたのが白賊ですね。他の種族だって独自の宗教を持っていたのに牛耳るなんてことはしませんでした。よほど紳士的です。その野獣の地球制覇の夢を打ち砕いたのが日本人なんだから凄いことですね。支那人や鮮人はこういう偉大な日本人を認識しているんでしょうか。狂犬みたいに日本に向かって吼えるだけではなく、嘘言っている暇があったらお勉強をしてもらいたいです。
インドの鉄道のrailgaugeが四種以上も有るのは狡猾な英国の植民政策でした。同じRail幅で繋げると反乱のときに一気に四方八方へ暴徒が大量移動するのでそれを防ぐ目的だそうです。狡猾ですねBriton。
Posted by k at 2007年03月31日 16:05
ケイ様
>>野獣の地球制覇の夢を打ち砕いたのが日本人なんだから

戦後の日本ではこの意味での大戦の意義を全く教えていないのが問題ですね。
もっともアメリカがそうしたのですが。
いつまでもこの点を隠さないで、事実をしっかり教えるような日本になって欲しいものです。
Posted by 小楠 at 2007年04月01日 08:44
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