2006年12月09日

吉田松陰留魂録

今日は、吉田松陰の遺書とされている「留魂録」の中から、ご紹介したいと思う部分を抜き出してみたいと思います。
引用は古川薫著「吉田松陰 留魂録」です。
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引用開始
[第一章]
 身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも留め置かまし大和魂 十月二十五日             二十一回猛子
・・・・・後略
 
[第八章]
 今日、私が死を目前にして、平安な心境でいるのは、春夏秋冬の四季の循環ということを考えたからである。
 つまり農事を見ると、春に種をまき、夏に苗を植え、秋に刈りとり、冬にそれを貯蔵する。秋・冬になると農民たちはその年の労働による収穫を喜び、酒をつくり、甘酒をつくって、村々に歓声が満ちあふれるのだ。この収穫期を迎えて、その年の労働が終わったのを悲しむ者がいるということを聞いたことがない。

 私は三十歳で生を終わろうとしている。いまだ一つも成し遂げることがなく、このまま死ぬのは、これまでの働きによって育てた穀物が花を咲かせず、実をつけなかったことに似ているから惜しむべきかもしれない。だが、私自身について考えれば、やはり花咲き実りを迎えたときなのである。
 なぜなら、人の寿命には定まりがない。農事が必ず四季をめぐっていとなまれるようなものではないのだ。しかしながら、人間にもそれにふさわしい春夏秋冬があるといえるだろう。十歳にして死ぬ者には、その十歳の中におのずから四季がある。二十歳にはおのずから二十歳の四季が、三十歳にはおのずから三十歳の四季が、五十、百歳にもおのずからの四季がある。
 十歳をもって短いというのは、夏蝉を長生の霊木にしようと願うことだ。百歳をもって長いというのは、霊椿を蝉にしようとするようなことで、いずれも天寿に達することにはならない。

 私は三十歳、四季はすでに備わっており、花を咲かせ、実をつけているはずである。それが単なるモミガラなのか、成熟した粟の実であるのかは私の知るところではない。もし同志の諸君の中に、私のささやかな真心を憐れみ、それを受け継いでやろうという人がいるなら、それはまかれた種子が絶えずに、穀物が年々実っていくのと同じで、収穫のあった年に恥じないことになろう。同志よ、このことをよく考えてほしい。

[第十三章]
 右の数条は、無駄に書きしるしたのではない。天下の大事を成功させるためには、天下の有志の士と互いに志を通じなければならない。そこで右の数人は私がこのたび新たに知り得た人物なので、これを同志に告げておくのである。

 勝野保三郎はすでに出獄した。彼にくわしいことを尋ねるがよい。勝野の父豊作は今潜伏中だが、有志の士と聞いている。いずれ事件が落着するのを待って探し出すことだ。
 今日のことに関しては、同志の諸士よ、戦に敗れたあと、傷ついた同志に会い、前後の経緯を尋ねて今後の参考にせよ。一度敗れたからといって挫折してしまうのは勇士とはいえないのではあるまいか。同志諸君、切に頼む。頼むぞ。

[第十六章]
 同志諸友のうち小田村伊之助、中谷正亮、久保清太郎、久坂玄瑞、入江杉蔵・野村和作兄弟たちのことは、鮎沢、堀江、長谷川、小林、勝野らへ話しておいた。また松下村塾のこと、須佐・阿月などに私の同志が多いことも話し、飯田正伯、尾寺新之丞、高杉晋作および伊藤利輔のことも、これらの人たちに話しておいたのだが、私としては軽い気持で諸君のことを告知したのではない。

書きつけが終わったあとで

心なることの種々(くさぐさ)かき置きぬ思い残せることなかりけり

呼びだしの声まつ外に今の世の待つべき事のなかりけるかな

討れたる吾れをあはれと見ん人は君を崇めて夷(えびす)払えよ

愚かなる吾れをも友とめ(愛)づ人はわがとも友とめでよ人々

七たびも生きかへりつつ夷をぞ攘(はら)はんこころ吾れ忘れめや

十月二十六日たそがれ書す    二十一回猛子
引用終わり

 吉田松陰は、安政六年(1859)十月二十七日、評定所で死刑の判決を受け、即日処刑されました。
「留魂録」のほかに、松蔭は肉親にあてた遺書を書いています。
十月二十日に書いた

「親思うこころにまさる親ごころけふの音づれ何ときくらん」

という辞世を冒頭に示して、親族の男たちに語りかけ、別に「両北堂様」として、実母と養母に追書し、次のように依頼しています。
 自分の首は江戸に葬り、萩には平生使っていた硯と書とを祭ってもらいたい、墓には「松蔭二十一回猛子とのみ御記し頼み奉り候」とある。遺言どおり、松蔭の墓標にはそのように刻まれている。
posted by 小楠 at 11:21| Comment(2) | TrackBack(0) | 書棚の中の人物
この記事へのコメント
こんばんは。松蔭もあまりにも有名ですね。自分は未だ良く理解できてないのですが、今後も彼に関する本は機会あるごとに読みたいです。印象に残ってるのは、これまたあまりにも有名な「かくすればかくなるものと知りながら やむにやまれぬ大和魂」でしょうか。
PS.今日は20代OLさんですが、「目を覚まして日本人!」というブログを運営されていて、大変頑張っておられるkeinoheartさんをご紹介させていただきます。
http://blogs.yahoo.co.jp/keinoheart
応援してあげてくださいね。
Posted by おばりん at 2006年12月11日 00:08
おはようございます。
keinoheart さんのご紹介有難うございます。早速お伺いしたいと思います。
今日から「日本人に謝りたい」を掲載し出しました。
あの本は最初の部分は易しい内容ですが、途中からはかなり難しい内容になって行きますね。
Posted by 小楠 at 2006年12月11日 08:14
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