英印度兵が続々投降、INAに参加
ご存知の方には興味深い本ではないでしょうか。インド独立とは切っても切れない人物・藤原機関のご本人(明治四十一年生れ)の著です。
表題は「F機関」副題として「インド独立に賭けた大本営参謀の記録」となっています。昭和六十(1985)年初版の本から抜粋してご紹介します。
引用開始
マレイ半島とシンガポールの島をつなぐただ一本の陸橋は、英軍の手によって破壊されてしまった。
制海、制空権を失ったこの島の英軍は、全く孤立にも等しかった。この島の防備は島の東方にあるチャンギー要塞と市街の西側にあるブラカンマティの要塞によって骨組まれていた。東および南の海正面に対しては不落を誇る厳しい備えを持っていたが、北のマレイ半島に対する陸正面の防備は手薄のようであった。日本軍はこの島によっている英軍の勢力を三万と推定していた。
これに立ち向かう日本軍の総勢力は、鉄道や補給部隊まで加算して五万内外であった。前線で戦闘する兵員の数は二万にもおよばなかったであろう。第五、第十八、近衛の三つの師団があったけれども、完全な師団は第五師団だけであった。そのほかに、戦車連隊が二個と、重砲兵連隊が三個あった。第十八師団以外は、いずれの部隊もマレイ半島で数度の激戦で相当ひどい損害を被っていたが、士気は天に誅する勢いであった。
百四十機の航空部隊は日本軍のために絶対の強みであった。
山下将軍は巧妙な陽動によって日本軍がセレタの方面から攻撃するように見せかけて、英軍をこの正面に牽制しつつ、陸橋より西の正面を攻撃する戦術をとった。2月7日には近衛師団をジョホールの東方に行動させ2月8日の未明にそのほんの一部の部隊をもってウビン島を攻略させた。軍砲兵の主力は、この正面の為陣地からセレタの敵陣地を砲撃した。こうして、英軍が陸橋の東正面に注意をひかれている隙を狙って、2月8日二四○○を期して、陸橋の西の正面から軍主力は一斉に渡河を開始し、テンガ飛行場を目指して殺到した。陽動に任じていた近衛師団も翌9日の夜、陸橋の直ぐ西側正面で渡河してマダイの高地に突進した。北から攻撃する日本軍に対してブキテマ、マダイの高地線は、英軍のためにシンガポールの運命を決する戦術上の要線であった。ブキテマ高地に上るとシンガポールの町は指呼の間にあったし、シンガポール百万市民の死命を制する水源地は、マダイ高地の南側に横たわっていた。
日本軍は、英軍がこの要線で組織的抵抗を試みる前に、一気にこの要線を奪取する計画をもって遮二無二攻撃を急いだ。
2月10日の朝、私はジョホールの王宮に到着し、砲兵の観測所となった高塔に上った。2月8日以来、日本軍砲爆撃のためにセレタやブキバンジャンの数十本の重油タンクが燃えさかって、捲き起る黒煙が空をおおい、また遠くシンガポールの市街方面にも幾十条の黒煙が吹き上がっていた。黒煙と青空の接際部を縫って乱舞する数十機の日本軍の飛行機に対して、数百門に上る英軍高射砲が必死の反撃を試みていた。彼我の砲撃が殷殷として天地を震撼し、シンガポールはとてもこの世のものとは思えないほど、凄絶な煉獄の形相を呈していた。
私は直ちに渡河作業隊の舟艇に移乗して、テンガ飛行場付近の山下将軍の戦闘指揮所に向った。・・・・・
戦線が南に進むにつれて、ジョホールに取り残された日本軍の戦車と重砲との協力が困難になった。その上に、英軍の反撃が急撃に増大し始めた。それはチャンギーの要塞とセレタの海岸方面から日本軍が来攻するものと判断してこの方面に牽制されていた英軍が、このころ、山下将軍の欺騙戦略を気付いて、ブキテマの方面に兵力を移動し始めたからである。・・・・
英軍の兵力三万と推定した日本軍の判断は、大変な誤策のようであった。陸橋が破壊されているために、砲兵も戦車もジョホールの彼方に取り残されていた。
英軍の反撃は刻々増大した。正に重大な危機が日本軍の上に迫ってきた。ブキテマ、マダイ高地のこの一戦こそ、日英両軍の運命を決する絶体絶命の戦闘であった。・・・・
かねてこの決戦に備えて、モ大尉はクアラルンプールでアラデタ大尉を班長とする有力な宣伝隊を編成し訓練していた。・・・・
11日以来のニースン英印軍陣地に対する近衛師団の攻撃は13日の朝になっても成功しなかった。戦車部隊も立往生の態となり、焦慮の色がみなぎっていた。
この正面の英軍は、印度兵部隊の一大隊であった。中宮中尉の連絡班とINA連絡班長アラデタ大尉は協議のうえ、敢然として第一線に進出して行った。折柄攻撃督励のためにこの方面に出ていた軍参謀副長馬奈木少将始め、彼我両軍の将兵はこの一行の大胆な行動に驚きつつ成行きを凝視していた。
INA宣伝班長アラデタ大尉は最前線に突き進んでゴムの木を横に取って仁王立ちとなり、印度人将兵に対して大声で参加を勧告し始めた。
民族の解放と自由の大信念を説くアラデタ大尉の生死を越えた森厳な態度と、肺腑からほとばしるその烈々荘重な勧告は印度人将兵の魂を揺さぶった。
彼等は期せずして射撃を中止し、片唾を呑んで、その勧告を傾聴した。将兵は我を忘れてその勧告に共鳴し歓呼をあげた。この一瞬、英印度の抵抗は終焉した。そしてこの正面の英印軍一個大隊は、卒然として武器を捨ててINAに参加してしまった。この出来事はたちまち後方の英印軍砲兵部隊に電撃の如く波及した。投降したこの英印軍部隊は、中宮中尉から証明書を付与されブキバンジャンの十字路に行くように命ぜられた。そしてINA宣伝班と中宮連絡班は、更にニースン村の方向に前進して行ってしまった。残された投降部隊は自ら中隊ごとに整々たる隊伍を整えて、一人の日本軍護衛兵も付することなく、近衛師団の諸部隊の中を縫って行進を開始した。
この咄嗟の驚くべき出来事は日本軍将兵を唖然たらしめた。13日正午ごろ、私は丁度この方面の状況を視察するためニースンに前進中、前方から続々F機関本部のあるブキバンジャンの十字路に前進してくるこの投降部隊に遭遇した。丁度、前線から引上げてきた参謀副長馬奈木少将と総司令部の参謀が私を捉えて、この驚異的事件をかいつまんで話し、F機関の仕事の意義の重大なことを今更のこどく賞讃してくれた。
引用終わり
2008年06月24日
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こうゆう問答形式で洗脳してるんですね。
>
Q.日本は解放戦争をしたんですよね?
A.御前会議で決められた大東亜政略指導大綱によると、東南アジアの植民地化を決定しています。
Q.ABCD包囲網とハルノートで日本を虐める白人列強が悪いんですよね?
A.日本は先に満州事変で中国に関する9ヶ国条約締結国に敵対しています。
本来なら瞬殺されても文句は言えません。
Q.元々満州は中国の領土ではないはずですよね?
A.日本は対華21ヶ条要求で満州地方の権益を中華民国に求めています。
また、満州を支配する張学良が28年に国民党に合流を表明した時点で中国統一は為されています。
Q.日中戦争を辞めない中国が悪いんでしょ?
A.満州事変は違法な中国侵略です。
反撃するのは当然でしょう。
また、日本はトラウトマン講和工作で更に北支や内蒙古の政治・軍事・資源的な権益等を上乗せし講和を不可能にしてしまいました。
Q.じゃあ、結局僕らが信じた解放戦争史観ってなんなの?
A.戦前の体制派が語り継いで語り継いで来た自己弁護です。
最近は厨房や希望の無いオッサンの合法ドラッグと成りつつあります。
早く洗脳を解いて社会に復帰しましょう。
…「日本は侵略してない」と言う人達を、馬鹿か気違いみたいに書かれてます。
どうやってこれを鵜呑みにしてる人達に真実を伝えられるのか、知識の浅い私には難しいです。
たまたま東南アジア繋がりでシンガポールが出て来たんで書いて見ました。
今朝はずっと障害でこのページが開けませんでした。
書いて頂いたとおり、これらの輩は、とにかく日本を悪にするためなら、どんなに捻じ曲げてもいいのでしょう。
リットン報告とか、紫禁城の黄昏など読んだ人にとっては、かなりの違和感があるでしょうけどね。
項目毎に何処が間違っているのか説明出来れば嬉しいのですが。
でも奴等にすれば、「紫禁城の黄昏」の方が嘘と言うんでしょうが。
そうですね、自分達以外は全部間違いが彼らの常套手段ですからね。
ところで、このメールアドレスはこと様のでしょうか?
もしそうなら、私のアドレス帳に入れた後、この部分だけ削除しましょうか。
いたずらされるとお困りでしょうから。
もしこれを見られたらお返事を書いて下さい。
一応万一の事を考えてサブアドレスにしてありますけど。
それ2chなどで有名なコピペですね。
一応撃退用としてこんなものもあります。
真Aのほうをご参考に。
Q.日本は解放戦争をしました!!
偽A.御前会議で決められた大東亜政略指導大綱によると東南アジアの植民地化を
決定しています。
真A.戦略物資の供給地については帝国領土とし、それ以外の地域は独立させる。
戦略物資の供給地についても、原住民の民度に応じできるだけ政治参加させる。
Q.ABCD包囲網とハルノートで日本を虐める白人列強が悪いんだい!!!
偽A.日本は先に満州事変で中国に関する9カ国条約締結国に敵対しています。本来ならば
瞬殺されても文句は言えません
真A.九カ国条約は、自衛戦争の禁止や中国における権益の放棄を加盟国に強制するものではない。
盧溝橋事件が日本軍への攻撃だとすれば、その後の日本軍の攻撃は自衛行動と解釈され、
九カ国条約に違背しないという意見もある。
これは条約の解釈の問題であり、「偽A」は一方の意見だけ紹介する点でフェアではない。
偽A.日本は対支21か条要求で満州地方の権益を中華民国に求めています。
また、満州を支配する張学良が28年に国民党に合流を表明した時点で中国統一は成されています。
真A.満州を支配する張学良が国民党に参加すれば満州は中国のものとなる、
という偽Aの論理を一般化すれば、満州を満州国が支配した時点で、
満州は満州国の領土となる。
Q.日本人居留民に対する迫害が原因だい!!!!!
偽A.そんなのイギリス他列強も条件は同じです。統治権を奪う事の正当化にはなりません。
日本移民を排斥するカリフォルニアを日本が併合するのは合法なのでしょうか。
真A.通州事件は日本人居留地のみを狙ったもの。他の列強国民は被害を受けていない。
もし被害を受けていたら、義和団事変の時のように挙って兵力を派遣したであろう。
また、移民は合衆国国民なので、迫害に日本が介入すれば内政干渉。
日本国民が虐殺された通州事件とは全く性格が違う。
Q.日中戦争をやめない中国が悪いんだい!!!!!!
偽A.満州事変は違法な中国侵略です。反撃するのは当然でしょう。また、日本はトラウトマン
講和工作でさらに北支や内蒙古の政治・軍事・資源的権益などを上乗せし講和を不可能に
してしまいました。
真A.当時の中国は、日本の傀儡・汪兆銘政権、米英の傀儡・蒋介石政権、
ソ連の傀儡・毛沢東政権が3つ巴の内戦を行っていた。
たまたま国際情勢の流れに沿って、米英とソ連の傀儡が手を結んだが、
基本的には内戦に外国勢力がからんでいた形。
傀儡政権を使って干渉することに「侵略」という言葉を使うなら、
米英・ソ連の「侵略」も同様に非難すべき。
また、漢人主体の汪兆銘政権が、戦って得た中国内の領土権を
主張することには何の不思議もない。
Q.じゃあ、結局僕らが信じた解放戦争史観ってなんなの・・・・(´;ω;`)?
偽A.戦前の体制派が語り継いできたジジイ共の自己弁護です。
最近は厨房や希望のないオッサンの合法ドラッグと成りつつあります。
早く洗脳を解いて社会に復帰しましょう
真A.学問である「歴史学」には、定まった解釈があるわけではない。
新しい証拠が発見されるたび、新たな解釈が生まれていく。
自分で資料を確認せず、誰かが言ったことを鵜呑みにすることこそ、
学問である歴史に対する最大の冒涜。
「偽A」も「真A」も、その意味では最終的な回答・解釈ではない。
あなたが納得するまで、とことん調べて欲しい。