2006年10月18日

教科書の中国建国記述

アメリカの教科書と日本の教科書では、第二次大戦後の中国共産党政権成立に対しての記述には、かなりの差が見られるようです。
 その例を掲載してみます。日本の教科書が中国共産党の勝利を大変喜んでいるように思わせるのに対して、アメリカの教科書は失望と共産主義政権を認めたくないとの考えが表れています。
 
引用開始
 戦後の日本がアメリカにとって成功物語だとすれば、国民政府軍と共産軍との間に繰り広げられた激しい内戦が長く続いた中国はまさに好対照だった。
 ワシントンは毛沢東の共産軍に立ち向かう蒋介石率いる国府軍を物心両面から支援した。が、蒋介石は政権内部の腐敗と不適当な言動から、大衆の信頼を失ってしまった。
 共産軍は南部を制圧、蒋介石は1949年後半には最後の生き残りを台湾にかけて、中国大陸を逃れざるを得なくなった。

 国民政府の崩壊は、冷戦下でのアメリカおよび同盟国にとっては手痛い敗北だった。全世界人口の四分の一近くの人類、5億という人々が共産主義陣営に組み込まれることになってしまった

 「中国を失った」責任者を追及する共和党は、トルーマン大統領と口ひげをたくわえてイギリス紳士然としたアチソン国務長官を激しく攻撃した。
 共和党はさらに、共産主義者が侵食している民主党の諸機関が蒋介石に対する援助を意図的に抑えたために国府軍は崩壊してしまった、と批判した。
 これに対して民主党は、蒋介石が倒れたのは中国国内の大衆の支援がなかったためで、いかに外部からの援助があっても救うことはできなかった、トルーマンが中国を失ったというが、トルーマンにはもともと失うべき中国などなかった、蒋介石自身、中国全土を支配したことなどなかったからだ、と反論した。
引用終わり。

もう一つ
引用開始
 蒋介石を支援してきたアメリカとしては、中国が共産主義国家になるのを見たくなかった。第二次大戦中、アメリカは中国が国民党の下で統一するよう、兵隊派遣を含む軍事援助や経済援助を行ってきた
 トルーマン大統領は1946年ジョージ・マーシャルを中国に送り、国府軍と共産軍とに停戦に応じるよう交渉したが、双方ともに妥協しようとしなかった。

 蒋介石は鉄道、道路、工場などを建設して中国の近代化を助けたが、政権は急速に大衆の間では不人気となっていった。日本との戦争は経済を破綻させ、インフレに見舞われた。蒋介石はこうした経済問題にほとんど対処できなかった。また貧農を救うための土地改革にはいっさい手をつけなかった。
 
さらに政権内部の汚職腐敗やすべての反対政党の結社を禁ずる独裁政治から、国民党は急速に大衆の支持を失っていった。蒋介石に対する反対勢力は日増しに力を強め、毛沢東率いる共産軍は1949年までには中国のほぼ全土を掌握した。
 敗色濃しとみた蒋介石と国府軍は台湾に逃れた。そして中国共産党は中華人民共和国を建国した。共産軍の勝利にがっくりしたアメリカは、その後国府を中国の合法政権と認め続けた。国連安保理常任理事国の「中国」の議席は、第二次大戦後も1971年まで蒋介石の台湾政府に与えられた。
引用終わり。

そして日本の「詳説世界史B 改訂版」の記述は、

引用開始
 中国は、日本の侵略に耐え抜き、戦後五大国の一員として重要な地位を認められた。しかし、国内では大戦末期から再燃した国共両党の対決が続いた。
 蒋介石は、1947年には新憲法を発布して、翌年総統となったが、国民党の支配は内部の腐敗や汚職がめだち、経済も悪化したため、民衆の批判をあびた。

 一方、中国共産党は毛沢東の指導のもとに新民主主義論をとなえ、農村部で土地改革を指導して支持をかため、47年なかばから人民解放軍によって反攻にでた。国民党軍は敗退をかさね、49年12月蒋介石は大陸から追われて台湾にのがれ、ここで中華民国政府を維持した。

 中国本土を掌握した中国共産党は、1949年9月国民党をのぞく民主勢力を北京に召集して人民政治協商会議を開き、10月1日毛沢東を主席とし、周恩来を首相とする中華人民共和国の成立を宣言した。
 新国家の首都は北京と定められた。人民共和国は50年に土地改革法を公布して農民に土地を分配し、さらに財閥所有の企業を国営に移し、伝統的な家族制度の打破を実行した。

 第二次世界大戦後、アジアで最初の社会主義大国となった中国は、反植民地運動や民族独立運動にとって一つの手本となった。新中国は、社会主義諸国をはじめ、インド、イギリスなどから承認されたが、アメリカ合衆国は台湾の中華民国政府を正式の中国代表とする立場をとった。
引用終わり
 
 日本の教科書には、蒋介石軍敗退の大きな原因である、アメリカ民主党に共産主義者が入り込んで、蒋介石への支援を停止したことは書いていません。また土地改革で分配した土地が、地主たちを抹殺して取り上げたことなど、共産党の暴虐を隠して美化しているところに、教科書編者の思想的背景が見えています。
 子供の教育に、このような共産主義に傾いた教科書を使用することの害毒は計り知れません。中立公正な内容にもどすよう、国民が強く訴える必要を感じます。
posted by 小楠 at 08:32| Comment(4) | TrackBack(0) | 教科書に見る日本
この記事へのコメント
(2007年度より教科書検定法令改正)。
日本の教科書はBlogger有志が集って編纂する(IT時代なら簡単にできま〜す)。自分たちの子弟を教育する場において”税金ただ食い、やってる振りばっかり”のどうしようもない小役人の介在は許されないのであります、本来は。
”健全な思想”が備わった子弟が誕生し、日本は再生できます。
Posted by ケイさん語録 at 2006年10月18日 11:54
ケイ様
>>日本の教科書はBlogger有志が集って 編纂する

Good idea これ最高ですね。文科省の偏執狂に検定なんかさせるから、おかしな物が出回るんです。
事実をそのまま叙述するだけで、日本人に誇りを持たせる教科書になるのにね。
Posted by 小楠 at 2006年10月18日 14:45
またまた、娘の教科書からの引用です。

<アジアの独立と中国・朝鮮>
(前略)中国では、国民政府と共産党との内戦が続いたが、共産党は土地改革などによって民衆の支持を集め、1949年、毛沢東を主席とする中華人民共和国を成立させた。国民政府は台湾に追われた。(後略)

たったのこれだけです。
これで、教えたつもりでしょうか。
予備知識がなければ、何のことやらさっぱりわからないでしょう。
Posted by おしょう at 2006年10月18日 18:25
おしょう様
>>共産党は土地改革などによって民衆 の支持を集め

いかにもいいことをやったように描いていますが、民衆の支持は富農を抹殺して取り上げた土地を貧農に分けただけのこと。すべての民衆が支持したわけではないですね。
Posted by 小楠 at 2006年10月18日 20:15
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