ここからは若狭和朋氏の著「日本人が知ってはならない歴史」の続編をご紹介しています。教育学博士若狭氏は、公立高校の教師を平成15年に退職後、現在は人間環境大学講師です。
「知ってはならない歴史」というのは、知られては困る歴史という意味である。私たち日本人に知られては困る歴史・史実とは何だろう。だれが困るのだろうか。

引用開始
1990年代の後半、アメリカで立て続けに起された訴訟での対日本の請求総額はなんと百兆円に達していました。(被告日本企業二十八社・・・原告は大戦中の米元捕虜・在米中国人・韓国人・・・戦時中の強制労働等を理由とした損害賠償請求訴訟)。
2003(平成十五)年一月、米連邦高裁はサンフランシスコ講和条約によって賠償問題は解決済みとの理由で、カリフォルニア州地裁判決を破棄すると判決しました。この判決によって、二十八社の日本企業への請求は破棄されたが、実に危ういことでした。
私は末端の一部を支えたに過ぎませんが、歴史認識がいかに国家の命運と深く係わっているかを身にしみて痛感しました。
原告たちは連邦最高裁に上告しましたが、棄却が確定しました(2006年7月)。
展開いかんでは、日本を代表する企業群は存亡の危機にさらされていました。百兆円もの賠償に耐えられる企業は、存在しません。
日本人は歴史認識の切実さを改めて知るべきです。・・・。
歴史偽造の一例
1914(大正三)年6月28日、オーストリアの皇太子夫妻が暗殺されました。第一次世界大戦の発端となった有名な事件です。
高校の全ての教科書が、犯人は「セルビアの民族主義者の一青年」であり、そしてこの事件(サラエボ事件)の銃声が悲惨な世界大戦のきっかけになったと説明しています。
これは歴史の偽造なのです。
三人の犯人たちは共産主義者でした。彼らのテロの目標は世界大戦の惹起であり、「帝国主義戦争を内乱へ、内乱から革命へ」(レーニン『国家と革命』)への実践にありました。つまりは、1917(大正六)年のロシア革命の第一幕がサラエボ事件だったのです。彼らはトロツキーやレーニンらに心酔した共産主義者たちです。
三人のテロリストを背後で支援していたのはセルビア陸軍の青年将校たちであり、彼らはロシアの革命派と気脈を通じ合わせていました。
この軍人たちは、1903(明治三十六)年にクーデターを起し、セルビアの国王・王妃・閣僚らを殺し権力を握っています。だから当時のセルビアは、ヨーロッパ世界では最も急進的な革命政権と目されていたのです。
彼らに支援されたテロリストが、オーストリアの皇太子夫妻を殺害しました。だからオーストリア帝国はセルビアに宣戦布告をします。セルビアを支援してロシア帝国が、オーストリア帝国に宣戦布告しました。オーストリア帝国を支援して、ドイツ帝国がロシア帝国に宣戦布告しました。ロシア帝国を支援して英仏両国が参戦し、米も日本も参戦しました。世界大戦となるのです。大成功です。
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