2007年10月07日

支那事変前の米中日7

元中国駐在米国公使のメモランダム7

 マクマリーの見解の正しさは、日米戦争後に描かれた世界の勢力図にそのまま現れています。おまけに欧米が守ろうとした植民地権益は全て無となり、英米は新たに、より強大な共産国をのさばらせる結果となり、防共の砦であった日本を無力にした結果、多大な犠牲を伴った朝鮮戦争が勃発する事態を自ら招くことになります。
 結局アメリカは戦闘に勝利しましたが、戦争目的では敗れたことになったため、「あの戦争は何だったのか」というようなことになったのでしょう。

「平和はいかに失われたか」という本から掲載しています。
この本はアメリカの外交官ジョン・マクマリーが1935年に書いたメモランダムで、「ワシントン会議」以来の極東状勢と、アメリカのとるべき政策を論じ、特にワシントン体制の崩壊を論じた部分が中心となっています。最終回は対日戦の愚かさについての記述の部分です。
写真はパリで日本の満洲撤兵勧告可決の連盟理事会
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引用開始
 日本の徹底的敗北は、極東にも世界にも何の恩恵にはならないだろう。それは単に、一連の新しい緊張を生むだけであり、ロシア帝国の後継者たるソ連が、日本に代わって極東支配のための敵対者として現れることを促すにすぎないだろう。・・・・こんな戦争でアメリカが勝ったとしても、その成果は恐らくソ連が独占してしまうことになる。
 日本に対する米国の勝利は、極東での障害要素であった日本が排除されて、リベラルな路線での米中間の緊密なる理解と協力に役立つ機会が大いに開けていくと予測する平和主義者や理想主義者がいるかも知れない。しかしそれは思い違いである。中国人は、過去も現在も未来も、外国を野蛮な敵と常に見なしており、外国を競り合わせて利を得ようとしてきた。外国のうちで一番成功している国が尊敬されるが、その次にはたちまち引きずり落とされてしまうという始末である。最近における中国国内の政治の紛争と混乱の歴史に集約されるように、ある特定の指導者と組んで権力を握った連合勢力は、そのリーダーに忠実な少数派とそうでない多数派に分裂する。多数派は新しい勢力を結成して、指導者が力を持ち過ぎる前に彼を失脚させ、他の誰かと入れ替えるのである。・・・

 ワシントン会議、北京関税会議および米中関税条約に関する我々の経験からすると、中国が、日本の拘束から解放されることについて米国に恩義を感じるとは考えられない。中国人は我々に何も感謝しないだろうし、我々の意図が利己的でないとは信じないだろう。そして、我々が果たすべき責任については、きっちりと我々に迫ってくるに違いない。
 よく見ても、日本との戦争は何の利益も得られないし、どう転んでも巨大な犠牲と危険を必ず伴う。したがってこのような戦争の回避自体が、我々の最も重要な目標であることを認識しなければならない。それは、我々が極東で行動するについて、単に付随的に考慮すべきことなどではない。・・・・
 日本は極東において我々とずば抜けた利害関係のある国の一つとなってきた。日本は我々の信頼を裏切り、中国の舞台から我々を追い出してしまったとこちらでは思っているのだから、これはあまり気持ちのよい関係ではない。我々が、そう感じるのにもはっきりした理由があるが、日本がそうなった状況を酌量して考えれば、もう少し寛大であってよいかもしれない。
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posted by 小楠 at 09:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 書棚から真実を