2007年05月18日

江戸中期の日本評2

日本人の好奇心、親切、正義心

 今回ご紹介しているのは、スウェーデン人ツュンベリー著の「江戸参府随行記」です。
ツュンベリーは植物学者そして医学博士で、東インド会社所属のオランダ船に員外外科医として乗船し、1775年(安政四年)8月13日、オランダ船の主任医官として長崎に来航しました。この年は、杉田玄白らの訳で有名な『解体新書』が出版された翌年にあたります。
「江戸参府随行記」にある今から230年前にツュンベリーが見た「日本及び日本人」の章から掲載しています。
時代が違いますが、画像は19世紀末のおもちゃ屋さん
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引用開始
 この国民の好奇心の強さは、他の多くの民族と同様に旺盛である。彼らはヨーロッパ人が持ってきた物や所有している物ならなんでも、じっくりと熟視する。そしてあらゆる事柄について知りたがり、オランダ人に尋ねる。それはしばしば苦痛を覚えるほどである。
 当地へやってきた商人のなかでは、とくに商館付き医師が唯一の博識者だと日本人は考えている。そこで出島の商館でもそうだったが、とくに幕府への途次や首府滞在時は、医師はいつも賢人であり、日本人はあらゆる事柄、とりわけ数学・地理学・物理学・薬学・動物学・植物学・医学について教えてもらうことができると信じている。

 謁見では、我々は将軍の宮殿で老中や他の幕府高官に頭のてっぺんから足先まで熟視された。それは我々の帽子、剣、衣服、ボタン、飾り紐、時計、杖、指輪等々にまで及んだ。さらに我々の書式や文字を見せるために、彼らの面前で字をしたためざるを得なかった。
 この国民は必要にして有益な場合、その器用さと発明心を発揮する。そして勤勉さにおいて、日本人は大半の民族の群を抜いている
 彼らの銅や金属製品は見事で、木製品はきれいで長持ちする。その十分に鍛えられた刀剣と優美な漆器は、これまでに生み出し得た他のあらゆる製品を凌駕するものである。
 農夫が自分の土地にかける熱心さと、そのすぐれた耕作に費やす労苦は、信じがたいほど大きい。
 節約は日本では最も尊重されることである。それは将軍の宮殿だろうと粗末な小屋のなかだろうと、変わらず愛すべき美徳なのである。節約というものは、貧しい者には自分の所有するわずかな物で満足を与え、富める者にはその富を度外れに派手に浪費させない。節約のおかげで、他の国々に見られる飢餓や物価暴騰と称する現象は見られず、またこんなにも人口の多い国でありながら、どこにも生活困窮者や乞食はほとんどいない。一般大衆は富に対して貪欲でも強欲でもなく、また常に大食いや大酒飲みに対して嫌悪を抱く。
 清潔さは、彼らの身体や衣服、家、飲食物、容器等から一目瞭然である。彼らが風呂に入って身体を洗うのは、週一回などというものではなく、毎日熱い湯に入るのである。その湯はそれぞれの家に用意されており、また旅人のためにどの宿屋にも安い料金で用意されている。
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posted by 小楠 at 07:28| Comment(5) | TrackBack(0) | 外国人の見た日本B